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HOT TECH TREND SIX 2015

WHITE Hot Tech Trend Six 2015
新しいユーザー体験を生み出すキーテクノロジー

「Computing Anywhere/Anytime」をテーマにデジタル技術を活用した企画・開発を行うラボWHITEは、2015年、プロダクトやサービスのユーザー体験に、大きな影響を与えるであろうと注目する6つのキーテクノロジーを発表します。

2015年は、ヒト/モノ/データの関係が大きく転換する年になるであろうと予測します。

まずはヒト。昨年は様々なウェアラブルデバイスが登場し話題となりましたが、それよりも重要なのは、スマートフォンが身体と一体化したかのように手放さない人たちが増えたことです。この先に見えてくるのが、実際に機械と一体化する人間の姿。2015年時点でそれは、「オーギュメンテッドヒューマン(身体拡張)」という形で具現化されるでしょう。

そしてモノ。様々なモノがネットに接続される「IoT」のアイデアが広まり、コンピュータ自体の性能も日々向上しています。コンピュータの「目」や「耳」となったデバイスからの情報を、人間と同じような方法で学習・理解する新世代の人工知能が、人間の能力を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」に到達するのも時間の問題となりました。2015年は、それらの初期のかたちとして、ほとんど人の手を介さないで駆動するネットサービスが実現されるでしょう。

最後にデータ。シスコの発表*によると、世界のインターネットデータ転送量は、2002年では1秒間に100GBでしたが、2013年には28,875GBに。そして、2018年には50,000GBになる見込みです。この、今も膨れ上がっているネットのデータから、いかにして有益なものを得るかが昨年までのテーマでしたが、今年は、一度ネットに取り込まれたデータやコンピュータ空間上でしか成立しなかったものを、現実世界に生きる私たちが、いかに扱いやすくできるかが大きな鍵になります。その動きのひとつが、情報や仮想空間の法則の物体化「フィジカライゼーション」です。

「ヒトは機械に近づき、モノはより人間らしくなる。ネットに閉じ込められたデータやコンピュータの世界は、現実世界に開放される時を待っている。これらの領域に関するテクノロジーが組み合わされ、融合することにより、新しいユーザー体験が生まれるだろう。」

それがWHITEの考える2015年です。

*『Cisco Visual Networking Index(VNI):予測と方法論、2013 ~ 2018 年』

文:先見明(Akira Senken)
訳:Stephen Benfey

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Photo by “M. Levin, University of Washington” on flickr

1.「身体の拡張」による人と機械の一体化
Augmented Human

下腿義足のドイツ人アスリート、マークス・レーム選手が、走幅跳び8m24cmの記録で、健常者も出場するドイツ選手権で優勝したことが象徴するように、機械によってヒトの補助をするだけでなく、機械によって人間の能力を極限まで高める「Augmented Human(身体の拡張)」のコンセプトが、2015年は急速に広まると予測します。バネやテコの機構を利用して小さな力で大きな力を発揮するパッシブな外骨格、あるいは、モーター駆動による義手や義足によって身体能力を高めるデバイス。ドローンとVR、脳波などを組み合わせて、遠くにあるものをあたかもその場にあるような感覚で操作するテレイグジスタンス(遠隔臨場感)などの活用事例が数多く登場するはずです。

事例A: Supernumerary robotic fingers

MITのハリー・アサダ教授と大学院生のフェイ・ウーが開発した6、7本目の指を実現するロボットアーム。人間の5本の指が協調して動く様子を分析し、ロボットアームの動作アルゴリズムを開発。グローブ内のセンサーで指の動きを読み取り、ロボットアームが判断して動作のサポートを行うことができる。

事例B: JackIn: Integrating First-Person View with Out-of-Body Vision Generation for Human-Human Augmentation

東京大学暦本研究室が開発したテレイグジスタンスシステム。現地にいる利用者(ボディ)が見ている景色を、遠隔地にいる利用者(ゴースト)に「一人称視点」でリアルタイムに共有しつつ、ボディが捉えた連続画像をもとに周辺環境をモデリングし、ゴーストに対し「体外離脱視点」を提供する。この2つの視点を使い分けながら、遠隔での共同作業を実現する。

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Photo by “Binary Koala” on flickr

2.「人工知能」との創造的協働
AI / Deep Learning

ECサイトで商品を探しているとき、WebサイトやSNSなどのバナー広告など、自分と同じような興味関心を持った人々のアクセス履歴をベースとした「(歓迎されない)リコメンド」に日々遭遇しますが、人間の言葉を解釈し、適切な回答を導き出す、IBM Watsonのような人工知能がAPIを通じて簡単に利用できる環境が整いつつあります。2015年は、人間を介さずに人間の知覚メカニズムを模倣する「ディープラーニング」のようなブレイクスルーによって、機械が私たち人間が抱くような「意味」を理解を理解するようになり、機械ならではの作業スピードと正確さが組み合わさることで、人の能力をはるかに超えた品質と量を提供するサービスやプロダクトが数多く登場すると予測します。

事例C: The Grid | AI Websites That Design Themselves

2015年春にサービス開始予定のAIを使ったWebサイト制作サービス。テキストや画像などのコンテンツをアップロードし、サイトの目的や目標(売上、ページビュー等)を設定すると、The Grid AIが内容を解析し、その内容に最適化されたスタイリングのアクセシブルなサイトを生成する点で、テンプレートベースのサービスとは一線を画する。

事例D: Pteromys: Interactive Design and Optimization of Free-formed Free-flight Model Airplanes

東京大学 JST/ERATOが開発した、自由形状の手投げ飛行機の設計をインタラクティブに支援するシステム。様々な形状の飛行機が飛ぶ様子を機械学習し、人々が自由に発想した形を人工知能が飛行可能な形状に調整してくれる。

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Photo by “Heather Katsoulis” on flickr

3.「触れる技術」の普及による新体験
Physicalization / Haptics

昨年登場し、大流行したOculus Riftのような安価なVRヘッドマウントディスプレイ(HMD)によって、従来のPCやスマートデバイスがそうであったように、ディスプレイはもう四角形ではなくていいことが広く認知され、多くの人たちがあたかもその場に居るような/あるような体験をしました。2015年は、四角いディスプレイを飛び出し、物理的なものを利用した入出力デバイス技術「フィジカライゼーション(物体化)」や、様々な触覚フィードバックを呈示する「ハプティクス」デバイスが数多く登場し、普及することでVRでの体験がより豊かなものに。また、物理的接触で人にとってより自然な操作体験が可能になると予測します。

事例E: Pixie Dust: Graphical Levitation System

縦横に向かい合わせに配置した4台の超音波フェーズドアレイを使用し、物体を空中に浮揚させることで図形等を表示するディスプレイシステム。PCやスマートフォンの画面を構成する「画素(ピクセル)」を「フィジカライズ」することで、実空間上に存在する様々な物体をディスプレイにできる可能性を示した。

事例F: Graffiti Fur

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科で開発した、毛並みを利用して画像を描画するデバイス。カーペットに指で文字や絵を描くような誰もが持っている「触覚体験」をディスプレイとする新しい試みである。

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Photo by “Playing Futures: Applied Nomadology” on flickr

4.サービスをフィジカライズするIoT
Internet of Things as a Service

IoTという言葉が流行し始めた時、人々はこぞってモノをインターネットにつなぐ「だけ」のものを作りましたが、その多くは失敗しました。つながった先に有益なものが何もなかったからです。2015年のIoTは、これまでインターネットの世界だけで完結していたサービスが、現実世界とつながるためにデバイスとしてフィジカライズする流れが加速すると予測します。Googleが買収して話題となったNestを「人工知能付きサーモスタット」として捉えるのではなく、「快適な居住環境を提供するサービスのためのタッチポイント」として考えることで、温度調節だけではなく、住宅における様々なサービスを接続するハブとして、また住宅をとりまく周辺環境を改善するためのスマートデバイスとしての価値を引き出すことが可能です。

事例G: Works with Nest

住人の冷暖房の習慣とコストのバランスを最適化する学習型のサーモスタットを提供する「Nest」が、アイデアをよりオープンにするべく、パートナー企業の製品やサービスを連動させるために発表したプログラム。

Works with Nest
https://nest.com/works-with-nest/

事例H: The Copenhagen Wheel

既存の自転車に後付できる電動アシストデバイス。各種センサーや車輪のロック機能も搭載している為、ユーザーの使用環境(平地、坂道)に合わせた電動アシスト制御が可能になる。デバイスから取得できるデータと様々なサービスが連携することで、付加価値を高められる可能性を秘めている。

The Copenhagen Wheel
https://www.superpedestrian.com/
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Photo by “Michael Coghlan” on flickr

5.「限られたネットワーク」の台頭
Ephemeral Network

FacebookやTwitterのようなソーシャルネットワークサービスの登場によって、親しい友人だけでなく、同じような興味関心を持つ離れた場所に住む人ともコミュニケーションできるようになりました。その一方でオープンな環境に違和感やストレスを感じる「ソーシャル疲れ」のような現象も広く知られています。自分の名前をあかさずに、限られた人や場所、限られた時間だけで成立するようなコミュニケーションが可能な、いわば「限られた(はかない)ネットワーク」を求める人々が増えると予測します。

事例I: FireChat

OpenGradenが提供するチャットアプリ。インターネット接続がなくても、マルチピア通信技術を使い、近くにある端末同士でメッシュネットワークを構築することで、メッセージのやりとりが可能に。2014年の香港での民主化要求デモの際に、学生を中心にデモ参加者の連絡網に活用された。

事例J: Rumor

SNSやリアルでつながっている友人と匿名のやりとりが可能なSNS。匿名であることならではの、実名では発言できないような大胆な発言や誰にも相談できないようなことが相談できる限定されたソーシャルネットワーク。

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Photo by “Kyle McDonald” on flickr

6.「遺伝子ハック」がより身近なものに
Bio Hack at Home

国の研究機関や病院、大学の研究室の中だけの世界だった遺伝子研究や、研究成果を応用した製品やサービスが身近になりつつありますが、2015年はこれをさらに推し進めた「遺伝子ハック」が手に届くようになります。従来は数百万円もし、遺伝子研究のハードルのひとつであったDNA増幅器をオープンソース化した「Ninja PCR*」のような製品によって、小学生や中学生から遺伝子研究をスタートさせることができるようになれば、医学だけでなく、様々な分野でDNAを使った製品やサービス、あるいはアートをしようと考える「変わった人」たちが増えてくるはずです。

*Ninja PCR

事例K: Remote-Controlled Contraceptive

MITがビル・ゲイツ財団からの支援を受けて開発した避妊用チップ。臀部に埋め込み避妊用薬剤を外部からコントロール。16年連続使用可能。運用されれば通常の避妊具より価格の面でメリットがあり、かつ継続的な避妊薬の投与が不要になる。

Remote-Controlled Contraceptive
http://microchipsbiotech.com

事例L: OK Go ‘Hungry Ghosts’

革新的なPVの制作で知られるアメリカのロックバンド「OK GO」が、2014年10月リリースのアルバム「Hungly Ghosts」をDNAでリリースする計画を発表。UCLAの化学者Sriram Kosuriのチームと共に、アルバムのデジタル情報を遺伝子配列情報に変換して、少量の水に溶かしてリリースする予定。

OK Go ‘Hungry Ghosts’
http://okgo.net/

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