「政治が面白い」と思えるようになったらそれは大人の入り口だ

最近、ニュース番組の政治コーナーを食い入るように見ている自分に気づき、ふと「ああ、自分も歳をとったな」と苦笑いすることがあります。

20代の頃の自分にとって、政治は「どこか遠くの国で、難しい顔をしたおじいさんたちが怒鳴り合っている退屈な儀式」に過ぎませんでした。
選挙に行けと言われても、正直なところ「自分の一票で何が変わるんだ?」と冷笑的な気分にすらなっていた。

しかし、30代も半ば、ライフステージが進むにつれ、その景色は一変します。

仕事での責任、税金の重み、子育てや介護のリアル、あるいは物価高。生活のあらゆる隙間に「政治」の手が伸びていることを実感せざるを得なくなった時、私たちは初めて、あの退屈だったはずのニュースが、実は「自分たちの人生の脚本」であることを知るのです。

今回は、なぜ大人が政治に惹かれるのか、そしてなぜ「政治を知ること」が最強の生存戦略になるのかについて、少し掘り下げてみたいと思います。

目次

政治は、剥き出しの「欲望と想い」の集合体である

「政治はドロドロしていて嫌いだ」という声をよく聞きます。
確かにその通りかもしれません。しかし、その「ドロドロ」の正体を見つめてみると、意外にも人間味に溢れていることに気づきます。

政治とは、決して教科書の中にある綺麗な理論ではありません。
その本質は、「無数の人々の欲望と、譲れない想い」のぶつかり合いです。

  • 「もっと豊かになりたい」という経済的欲望
  • 「子供たちに良い教育を受けさせたい」という親心
  • 「伝統を守りたい」という保守的な願い
  • 「理不尽な格差をなくしたい」という正義感
  • あるいは「権力を握り、歴史に名を残したい」という個人的な野心

これら数えきれないほどのベクトルの異なるエネルギーが、一つのテーブルの上で激しく火花を散らしている。それが政治の現場です。

そう考えると、政治は最高の「人間ドラマ」に見えてきませんか? 誰が何を求め、誰と手を組み、何を妥協したのか。
そのプロセスを追うことは、どんなビジネス書を読むよりも「人間の本質」を教えてくれます。
政治が面白いと感じるのは、私たちが人生経験を積み、他者の複雑な事情を推察できる「大人の解像度」を手に入れた証拠なのです。

政治の潮流を知れば、自分の「次の一手」が見えてくる

ビジネスの世界において時流を読むことは不可欠です。
しかし、その「時流」の源泉を辿っていくと、多くの場合、政治的な決定に行き着きます。

例えば、補助金制度の変更、規制緩和、増税や減税。
これらはすべて、国の意思として決定されます。
政治の動向をウォッチするということは、いわば「ルール変更の予告」をいち早くキャッチすることと同義です。

  • どの産業に予算が投じられようとしているのか?
  • 国は国民に、どのようなライフスタイルを求めているのか?
  • 5年後、10年後の社会構造はどう塗り替えられるのか?

政治という大きなうねりを知ることは、羅針盤を持つことに似ています。

「これからこの分野に追い風が吹くから、今のうちにスキルを磨いておこう」

「この制度が変わるなら、資産の守り方を変えなければならない」

といったように、自分の今後の行動やキャリアの指針が、霧が晴れるように見えてくるのです。

政治を「自分とは無関係な上層部の話」として切り捨てるか、それとも「自分の未来を左右する情報の宝庫」として活用するか。
この差が、数年後の個人の格差となって現れるのは火を見るより明らかです。

「自分には関係ない」という無関心が、自分を殺す

かつての私がそうだったように、「政治なんて誰がやっても同じ」「自分には関係ない」と背を向けるのは自由です。
しかし、厳しい言い方をすれば、その「無関心」こそが、最も自分を苦しめる刃(やいば)になります。

よく「政治に興味を持たなくても、政治に無関係でいられる人は一人もいない」と言われます。

あなたが今日買ったコーヒーの値段も、残業代の計算方法も、将来もらえる(かもしれない)年金の額も、すべては政治というブラックボックスの中で決められたアウトプットです。

無関心でいるということは、「自分の人生のハンドルを、名前も知らない誰かに、白紙委任状で預けている」状態に等しい。

もし、その「誰か」があなたの生活を壊すような決定をしたとしても、無関心だった人は声を上げることすらできません。
なぜなら、ルールが変わる過程を無視していたからです。
気づいた時にはすでに手遅れで、逃げ場を失っている。これこそが、現代社会における「無関心が自分を殺す」という現象の正体です。

「自分には関係ない」という言葉は、一見するとクールで中立的に聞こえますが、実際には自分の生存権を放棄する、非常に危ういギャンブルなのです。

政治を「嗜む」大人になろう

とはいえ、毎日全てのニュースを追いかけ、デモに参加し、SNSで政治論争を繰り広げろと言いたいわけではありません。
それはそれで疲れてしまいますし、本業に支障が出ては本末転倒です。

私たちが目指すべきは、「政治をライフスタイルの一部として、適度に嗜(たしな)む」ことではないでしょうか。

  • 選挙の前だけは、各党の公約を「自分の財布」と照らし合わせて読んでみる。
  • ニュースを見て「なぜこの政治家はこんな発言をしたのか?」とその裏にある欲望を推察してみる。
  • 自分の住んでいる街の予算が、何に使われているのか一度だけ調べてみる。

そんな小さな一歩で十分です。

「あ、これは自分に関係があることだ」というアンテナが立つだけで、世界の見え方は劇的に変わります。

歳をとるということは、自由が減り、責任が増えることだと思われがちです。しかし、政治を面白がるようになることで、私たちは「社会という巨大なシステムのプレイヤー」としての自覚を持つことができます。

それは、単に流されるだけの小舟から、自分で帆を操る船へと乗り換えるようなもの。

政治を知ることは、自分を守ること。そして、自分の足でこれからの時代を生き抜くための、最強の武器を手に入れることなのです。

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