私のレンズで世界を切り取るライターに

ペンと紙の画像

あなたが見ている景色と、私の見ている景色は、きっと少し違う。
秀でた才能があるわけではないけれど、私のレンズを通して見える景色を、ことばにして届けたい。
そんな思いを胸に、ライターをしている。

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誰かのレンズを通して世界を知る

小さいころから、音楽と絵が好きだった。
音楽はヤマハ音楽教室から始まり、小学生のとき吹奏楽部に入ってから大学を卒業するまでの10年以上続けた。
「自分が演奏する楽しさ」よりも「たくさんの音に包まれる感覚」が好きだったように思う。
だから今も、音響機材を使わずホール全体に楽器の生の音が響き渡るコンサートが大好物だ。

絵は、小学生のころ親と乗った電車で偶然見かけた美術展のチラシがきっかけだった。
東山魁夷に心を惹かれて以来、今も風景画の展示があれば足を運ぶ。

なぜ芸術の話を?と思った方もいるかもしれない。
実は、私が「ことばの力」に気付くには、芸術との出会いが必要だった。

かつての私にとって「ことば」は、あまりに身近すぎて特に意識しない存在だった。

国語の授業で出会う作品は大好きで、自分が物語の中に入り込んだような感覚を覚えてとても好きだったが、だからといって休み時間に進んで本を読むような子ではなかった。

図書館で借りた本は、長期休みの数冊。
本好きの母や、多読で表彰された兄が不思議がっていたことを覚えている。

けれど、美術展やコンサートに何度も足を運ぶうちに気が付いた。

美術であれば画家が、音楽であれば演奏家が、それぞれ感じた世界を表現している。

見た世界を、その人のレンズを通して見せてくれている。

それは「ことば」も同じではないか。

そういえば、あのとき先生がくれたことばを今も覚えている。
あのドラマのセリフ、広告のあのことばが心に残っている。
合唱で歌った曲の歌詞も、メロディーと一緒に心に焼き付いている。

誰かの人生を通して紡がれたことばに、本当はいつも支えられてきたのだ。

武器じゃなくても、確かに自分のレンズを磨いていく

大学進学、そして社会人になってから、本当にたくさんの人と出会った。

料理が好きで、いつも多めに作ってはふるまう人。
絵が好きで、リクエストに応えて美しいイラストを描く人。
音楽が好きで、自分の曲を作り演奏する人。
カメラが好きで、仕事のない週末は撮影に没頭する人。

なかでも、とある音楽家に出会い、とても近い距離で演奏を聴いたときに衝撃を受けた。

「なにかを見て、生まれた気持ちを表現するために音を紡いでいる」

その事実を全身で体感したのだ。

自分を表現し、それが形となって誰かに届く。
そんな「武器」を持っている人たちを、私はうらやましいと感じた。

では、私を表現するなら何だろう?
そう考えたときに浮かんだのは「書くこと」だった。

自分には特別なものがないから、感じる劣等感はある。
武器とは言えないけれど、そういう私だからこそ見える景色もあるのかもしれない。

私のレンズを通して、誰かに世界を知ってもらいたい。
これまで抱えてきたネガティブな感情も、経験も、すべてを糧にして。
こんな私だからこそ書けるものがあると信じている。

この人のレンズを通して見てみたい、そう思ってもらえるように。
私はこれからも、ライターとして、人として、自分のレンズを磨き続けたい。

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