はじめまして、もしくはこんにちは。デジタルレトリバーのライター【えりこ】です。
今回はずっと憧れていた“猫の王国”ことトルコ・イスタンブールへ行ってきました。
歴史いっぱいの街で、どこからともなく現れる猫たち。そんな独特のゆるい空気に触れて、初日からすっかり魅了されました。
壮麗なモスクに圧倒され、バザールでは値段交渉で関西魂を発揮し、スイーツでは甘さの沼に沈み、気づいたら猫の写真ばかり増えていく——。
そんな “ゆるくて濃い” イスタンブール旅を、体験談多めでお届けします。
【1日目】猫とバザールと、甘さの沼
羽田空港から中国を経由してイスタンブール空港まで約20時間。空港からバスに揺られて約1時間半。
いよいよ旧市街へ到着し、ホテルまでガタガタの石畳をドデかいキャリーケースと一緒に進みます。引くたびに響く重低音と、現地の方々の視線。観光客感が隠しきれません。
そんな私たちを迎えてくれたのは、ホテル前の椅子でくつろぐ1匹の野良猫。
私たちが「ニャ~ン」と挨拶するもガン無視の猫ちゃんでしたが、逃げたり警戒する様子もなく勝手に歓迎された気分になりました。

荷物を預けたら早速でグランドバザールへ!
基本的に値札はなく、熱弁してくれる店のおじちゃんたちを横目に「いくら?」と聞いては「ふむ、次の店!」を繰り返しうろうろすること約2時間。
観光名所だからか、親日国だからなのか、「コンニチハ!ジャパン?アイラブジャパン!」と常に声をかけられっぱなしで、トルコ人は陽気でフレンドリーでいい感じだな!というのが第一印象。
あれこれ見て回るも結局購入したのはモスク用のピンクのスカーフのみ。
買いたてのスカーフをそれとなく頭にかぶっていると、「ずれてるから俺が巻きなおしてやるよ!」と別のお店のおじちゃんが巻き方を教えてくれました。優しい。
バザールを後にして、Googleマップで近くのレストランを探していると口コミがよくリーズナブルそうなお店を発見!
…が、店に入ってメニューを開くとGoogleマップに投稿されていたメニューより倍近く値上がりしていて、思わず高っ!!と声にでてしまいました(笑)。
ここ1〜2年で物価が上がったのは日本だけではないのも言うまでもなく。
人気のメニューはケバブということで、(たしか)1400円くらいのトマトケバブと水を注文。

日本のケバブショップのラップをイメージしていたら、どでかいプレートがどーん。
薄い生地の中にゴロゴロ入った肉とトマト、そして米・ポテト・青唐辛子・フォカッチャのようなパンまで。
「どれだけ炭水化物を盛る気なんや…」と心の中でツッコミ。
初の本場ケバブにワクワクしながら食べてみると——おいしい、でも、うん……正直、日本のケバブのほうが好みでした。
なかなか水がこないので店員さんにアイコンタクトを送り、「ウォーター?OK」と気づいてもらえるも飲んでみるとまさかの炭酸水。なにがOKなんじゃい(笑)。
気を取り直し、次は本場のシーシャを味わうべく、イスタンブール最古ともいわれるシーシャバーへ。地元で人気の店で、アジア人は私たちだけ。場違い感に思わず笑ってしまいました。
人気No.1のアップルフレーバーとチャイを頼み、いざ体験。
アンティーク感漂うシーシャは雰囲気満点で、味もふんわり優しいアップル。ただ、日本のものより風味は控えめでした。吸っているうちに喉が痛くなり、後半はもっぱらチャイタイム。トルコのチャイはミルクはなく、砂糖を好きなだけ入れて飲むストレート紅茶。味は日本でよく見るリプトンのティーバッグに近く、とても飲みやすかったです。

チャイを飲んでいると、店内に猫がスッと入店。何事もなかったかのように椅子に座り、隣のおじさんと見つめ合っていました。あの空気感は、かわいい以外の表現が見つかりません…。
その後、地下宮殿とアヤソフィアをサッと観光し、人気スイーツ店へ。
ショーケース越しのカラフルなお菓子に期待が膨らみます。2階のカフェスペースには大きなケーキが並んでいましたが、ここはやはりバクラバ。ピスタチオのバクラバセットと、チョコとピスタチオのケーキ、そしてトルココーヒーを注文しました。

——そして、ここから私たちの戦いが始まりました。
一口食べた瞬間、歯が溶けるかと思うほど甘い。思わずトルココーヒーで流し込むも、甘味が圧倒的に勝利。
コーヒーでは太刀打ちできません。私は大の甘いもの好きですが、日本で経験したことのない次元を超えた甘さでした。なんと、1口サイズのバクラバで200~300キロカロリー!!調べて後悔しました。
「これさぁ…このカフェだけで2000、いや3000キロカロリーいってるんじゃね?」とゴクンと唾を飲み込みながら友達と目を合わせたときのあの場の空気感は忘れられません。
友達はなんとか完食も、途中からフードファイターのように半泣きになりながら鼻息荒くバクラバと向き合っている私を店員さんは鼻で笑いました。甘いもの好きの私がカフェでスイーツを残すことなど、今後はないでしょう。
お腹がパンパンになった私たちは、罪悪感を抱えながら1時間歩いて新市街へ。夜はボスポラス海峡ディナークルーズが控えています。旧市街と新市街をつなぐ橋は、釣り人でぎっしり。何が釣れるの?と聞いたものの種類は聞き取れませんでしたが、釣り人の足元にある水の張ったバッグをチラッと覗くと瀕死の小魚が。釣った魚は食べるようです。

海沿いを歩くと、突然ひらけた広場が現れ、そこはまさに“猫の楽園”。どこを見ても猫、猫、猫。
しかもほとんどが人懐っこく、筆者の飼い猫より懐いてくるのです。そう、街が猫カフェです。足にすり寄ってくる猫たちは、みな飼い猫のようにつやつやした毛並み。
「こいつら、いいもの食ってやがる…!」と一撫でして10m進むとまたかわいい猫が。その繰り返しで写真フォルダは気づけば猫ばかり。猫と戯れているとクルーズの集合時間に。
集合場所は港かと思いきや、まさかのガソリンスタンド。
大量の参加者がガソリンスタンドに並ぶ光景は、日本ではなかなか見られません。
船に乗り込み夕食を楽しんでいると、次々とトルコらしいショーが始まります。
なかでも印象深かったのは、白い衣装でくるくる回り続ける“セマー(Sema)”というトルコの伝統的な回転舞踏。軸をぶらすことなく数分間回り続ける姿は、とても神秘的でした。
ただ回っているだけのはずなのに、なぜか目が離せない、不思議な時間でした。

クルーズの終盤には疲労がピークに達し、ほぼ半目状態(笑)。
ほとんど寝れなかった長距離フライトのあとに朝からぶっ通しで歩いて、食べて、もう身体は限界でした。クルーズのあとの記憶はほとんど残っていません。
【2日目】帝国時代を追いかけて

朝一番に訪れたブルーモスクは、想像以上に壮大でした。朝日に照らされたステンドグラスから差し込む光と、中央に円形に並ぶランプが相まって、なんとも幻想的な空間をつくり出していました。
キリスト教の教会や聖堂と似ている部分もありますが、偶像崇拝が禁じられたイスラム教ならではの幾何学模様の繊細さがとても美しく、しばらく見惚れてしまうほどでした。
続いて、かつての王宮・トプカプ宮殿へ。
実はこの宮殿を訪れる前、日本でトルコの大人気ドラマ「オスマン帝国~外伝~」を予習していました。後宮のドロドロした女たちの戦いを妄想しながら巡る宮殿は、豪華で、合理的で、帝国時代の豊かさをこれでもかと感じさせてくれます。
街に戻り、視界の端にかわいい猫ちゃんを捉えつつ歩いていると、トルコ絨毯の専門店が!
あざやかなカーペットたちに吸い寄せられるように入店すると、大きなラグから足元マット、クッションカバーまで種類が豊富で、思わず見入ってしまいました。

トルコ絨毯とひとくちに言っても、地方によって模様に特徴があるのだとか。
お土産にクッションカバーと足元マットを選んだのですが、問題は値段交渉。ここで容赦ない関西魂が発揮され、長期戦に突入。すると店員さんから「一息つこう」と奥の部屋へ案内され、チャイを出してくれました(笑)。
雑談も挟みつつ気づけば1時間。最終的には、最初の提示価格の6割ほどに落ち着きました。(おそらく、これでようやく現地人価格…!)
すっかり日も暮れ、夜には一番楽しみにしていたトルコ式の伝統的なお風呂「ハマム」にいきました!
サウナにスチーム、泡マッサージのノーマルプランでまさかの1万円超え。口コミも良いお店だったので期待して向かったのですが……これがなんとも言えない体験でして。
まず更衣室がスタッフのバックヤードような場所で、ゴミや荷物がそこかしこに。さらに裸にタオル一枚の状態で他の男性客とすれ違う導線。終了後も洗面台やドライヤーはなく、髪の毛がビチョビチョの状態でホテルに帰ることに。
日本だったら確実に炎上しているレベルです(笑)。
とはいえ、温かい大理石の上で受ける泡マッサージと軽いあかすりは気持ちよく、これはこれで良い経験に。
結局後日、お土産屋さんでハマム用の泡立てネットと、あかすりミトン、石鹸まで購入してしまったので、なんだかんだ気に入っていたのだと思います。
【3日目】なんやかんや、サバサンドが一番おいしかった件
最終日は新市街地へ向かい、ガラタ塔を横目にイスティクラル通りをぶらりと散策しました。旧市街よりもヨーロッパ色が強く、洗練された街並みは歩くだけで気分が上がります。途中でアイスをつまみ、チキンケバブをかじり、そしてサバサンドへ——と、目も胃袋もフル稼働のひとときでした。

なかでもサバサンドは、想像を超えてくるおいしさでした。
サバ単体で比べると日本のほうが脂がのっていて好みではあるものの、サンドに入っていたスパイスとザクロの実が絶妙なアクセントになっていて、「これは日本でも売れる!」と確信。
もし街中でトルコ人のケバブショップを見かけたら、「サバサンドも出してください!!」とお願いしたくなるレベルです。
※帰って調べてみると、私たちが食べたのは“サバラップ”という最近のイスタンブールの流行メニューらしく、伝統的なサバサンドにはザクロは入らないとのこと。
ホテルに戻ったあとは、次の目的地・カッパドキアへ向けて地下鉄で空港へ。
車内では、現地の家族連れと思われる親子が向かいに座っており、5歳くらいの男の子がじっとこちらを見つめています。観光地のイスタンブールでさえアジア人は多くなかったので、珍しかったのかもしれません。
私たちがニコッと微笑むと、その子は照れくさそうにお母さんへ視線を送ります。
そのとき気づいたのは、着ていたTシャツがなんとピカチュウ柄だったこと。
そういえばバザールでもキティちゃんやポケモンのグッズを少し見かけましたが、実際に身につけている子を見ると、日本のアニメやキャラクターって本当に世界に届いているんだなぁ……と小さく誇らしくなりました。

総評

イスタンブールは、美しいモスクの尖塔があちこちに立ち、街中に歴史の気配が漂う、とても魅力的な場所でした。数々のモスクの荘厳さやトプカプ宮殿の豪華さは、長く続いた帝国の豊かさを静かに語っていて、歩くだけで“物語の中に迷い込んだ”ような気分になります。
そして同じくらい心を動かされたのが、人の温かさと、そこら中にいる猫たち。
みんなに可愛がられて自由に過ごす猫の姿は、街そのものの優しい空気を象徴しているようでした。観光客にも気さくに声をかけてくれるトルコの人々にも、何度もほっこり。
歴史も、景色も、そして猫も。
どれもこの街の魅力をつくっている大切な要素だと感じます。
猫好きの方はもちろん、歴史ある街の空気を楽しみたい人にも、イスタンブールはぜひ訪れてほしい場所です。


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