「推し活」にまつわる言葉から読み取れる、Z世代の深層心理とは

こんにちは!

デジレトライターのふみこです。
突然ですが、「推し活」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?

「まさに今、推し活してる!」という人もいれば、
「推し活界隈のことはよく知らない」という人もいるかもしれません。

かくいう私にも「推し」がおり、推しの動画を見ながら料理していたところ、パスタを茹でていたはずが、気づいたら「あれ、うどんか?」というくらい伸びていた程には「推し」に夢中になっております。

「推し活」って、単なる趣味でしょ?
と思われるかもしれませんが、実は、推し活まわりで使われる言葉を読み解いていくと、推し活世代、主にZ世代がどんな感情で日々を過ごしているのか、どんな価値観を大切にしているのかという深層心理(インサイト)が見えてきます。

これは、ブログのペルソナ設定やターゲティング、マーケティング企画などにも関わる重要な視点。
この記事では、推し活界隈の言葉をいくつかご紹介しながら、そこから読み取れる心理を分析していきたいと思います。
さあ、皆さんも一緒に、推し活の世界を覗いてみましょう!

目次

リアコ【りあこ】

リアコはリア恋、「リアルに恋する」の略。
ホンモノの恋人同士にはなれない存在であるアイドルに対して、本気で恋愛感情を抱いてしまう心境のこと。
単なるファンではなく、「結婚したい」「付き合いたい」などとリアルに思っている、「ガチ恋(ガチで恋している)」に近い状態。

【用例】
「わたしの推し、マジでリアコ!」
【派生語】
リアコ製造機:リアルな恋愛感情を抱かせやすいアイドルのこと。

アイドルは「優しい」「裏切らない」「いつも笑顔」など、自分の理想像を体現してくれる存在ですよね。
推しがいる人なら、「この気持ちわかる!」と思うのではないでしょうか。
現実の恋愛では味わいにくい「完璧さ」を求める気持ちが投影されていますよね。

また、心のどこかに「自分を特別扱いしてほしい」「自分は特別な存在でありたい」という気持ちもあるからこそ、この言葉が生まれたのでしょう。

同担拒否【どうたんきょひ】

「同担拒否」とは、アイドルや声優など、同じ推しを応援する他のファン(同担)との交流を避けたい、または拒む態度を指すオタク用語。
同担をライバルと感じて嫉妬心が生まれたり、他のファンが推しと親しくする姿を見て独占欲が刺激されて辛いため、事前にSNSなどで同担拒否と書いておくケースも。

【用例】
「同担拒否しない方、仲良くしましょう」
「私は同担拒否、他担OKです」

【反対語】
「同担歓迎」

この用語を使う心理には、推しへの独占欲が影響していると考えられます。
同担同士なら話も合いそうに思いますが、嫉妬心やお互いの熱量の違いなどで、交流がトラブルにつながるケースもあるようです。
「拒否」という強い言葉が使われているのが大きな特徴ですよね。
自分のスタンスを強く主張したいといった心理が見えてきます。

ファンサ【ふぁんさ】

主にライブなどで、推しから個人的に受け取る特別なアクション。
「手を振ってもらう」「投げキッス」など。

【用例】
「ファンサもらえて幸せー!」
「〇〇くんのファンサ可愛すぎ」

【派生語】
確定ファンサ:推しが客席全体に手を振るのではなく、観客が作った推しうちわに書いてある指示(ピースして等)をしてくれること。

「ファンサービス」でなく「ファンサ」と略語が浸透しているほど、ありふれていて、「してもらえるかも」「もらえる前提」という空気感も感じられます。
アイドル自身もそれに応えるため、さらにファンサは加速し、ファンの立場が強くなっている気がします。

本来、ライブというのはお金を払ってアーティストの演目を鑑賞しに行くもの。
「個人的に何かをしてもらう」場所ではないかもしれませんが、現代ではその割合が多くなり、目的化しているところに時代の特徴が感じられるな、と思います。

貢ぐ【みつぐ】

「推しに貢ぐ」とは、好きなアイドルやキャラクターなど「推し」を応援するために、お金を使う行為。

【用例】
「新曲のCDを何枚も買って、推しに貢いだ」
「ライブチケットだけでなく、グッズも買って推しに貢いでいる」

「貢ぐ」という言葉には金品を贈る意味のほか、主君に捧げるという意味があります。
本来は消費者側が、アイドルにまつわる商品を購入しているだけなのですが、「お金を使った」「散財した」とは言わず、「貢ぐ」と言うことで、「献上している」、「相手を助けている」という意味合いが出てきます。
「貢いでるんだ」と思うことで、自分自身を肯定する役割があるのかもしれません。

認知される【にんちされる】

推しに自分の存在を覚えてもらうこと。 
推しとの距離がある場合に、自分を知ってもらうための行動を指す。

【用例】
「毎回ライブに通って、推しに認知されるよう頑張っている」
「配信でコメントを続けて、推しに少しずつ認知されてきた」

「会いに行けるアイドル」という言葉も流行りましたよね。
「神のような存在であるアイドルをイチファンとして静かに応援する」時代ではなく、「自分のことを1人の人間として認めてもらう」ことを求める心理があるのがわかります。

また、2.5次元アイドル、地下アイドルといった言葉も出て来ました。
芸能人でなく、一般の人でもYouTuberになれる時代、アイドルが「夢の世界にいるスゴい人」ではなく、「自分の手に届く人」という概念も強くなったようです。

誕生祭【たんじょうさい】

誕生祭とは、推しの誕生日に、感謝や応援の気持ちを形にして祝うこと。
たとえば、推しと自分、2人分のケーキを用意して写真を撮ったり、推しグッズを並べたり、プリントケーキを用意したりする。
SNSで「#本人不在の誕生日」や「#〇〇誕生祭」といったハッシュタグが発生することも。

【用例】
「推しの誕生日に自宅で誕生祭を開催した」
「ケーキとグッズを用意してSNSに誕生祭投稿をした」

推しの誕生日を祝う行為は、単なる誕生日のお祝いではなく、あたかも近しい存在のように推しを身近に感じ、そばにいるかのような意識を持つ文化でもあることがわかります。

推し【おし】

そして最後に「推す」と言う言葉。
「推す」とは、特定の人物に強い愛着を抱き、他人にも薦めたいほど気に入っている状態を指す。
アイドル文化で使われ始めた「推しメン(推しているメンバー)」が語源。
今やアイドルや俳優に限らず、アニメキャラ、ゲーム、鉄道など、幅広く使われる言葉に。

【用例】
「推しが尊い」
「推しは推せる時に推せ」

【派生語】
今日も推し事がんばるぞ!:推しのイベント参加やグッズ購入など、推しにまつわる活動に精を出すこと。

数年前には、アイドルの握手券や総選挙などが話題になったこともありましたが、「消費者としてCDを購入している」ではなく「自分が買ってあげることで、アイドルを推薦してあげている」という心理になっているわけで、推されているアイドル側は、「買ってくださった方のおかげで!」と感謝する構図があります。

ただ単に「曲を出しました、CD買ってください」ではない、消費者自身を主役・主体にできるマーケティング戦略が強いのだと感じました。

まとめ

「推し活」は、ただの趣味に見えて、実は令和を生きるZ世代の価値観が詰まった文化。
Z世代の若者は、SNSで自己表現の場を持つことで発言力が大きくなっています。

推し活に関しても、謙虚に静かに応援するというより、「自分の存在を推しにわかってもらいたい」という主体性を強く持っているんですよね。

だからこそ、Z世代、推し活世代に向けて文章やコンテンツを作るときは、
「自分を認めてほしい」
「嫌なものははっきり拒否したい」
「自己主張をしたい」
という潜在意識を持つ層であることを、押さえておくことが重要だと感じています。

たとえば、そこを考慮すると、文章ひとつとっても、「こうしましょう」といった命令調のスタンスより、「こんな方法もありますよ、あなた主体で自由に選んでくださいね」
と寄り添うスタンスの方が、受け入れてもらいやすいという見方もできます。

また、今後流行り始めたり、定着していく単語によって、その時々のニーズや時代の流れ、世相が読み取れそうですね。

ただの推し活、されど推し活。
私も「推し」に元気をもらいつつ、このように流行っている言葉から読み取れる時代のインサイトを、これからも深く読み取っていきたいと思います。

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