マッチングアプリを使ったことがある人は、もう珍しくない。
最近の調査では、日本では20〜30代の既婚者のうち約4人に1人が「マッチングアプリが出会いのきっかけだった」と答えているらしい。
世界規模で見ても、数億人単位で利用されているというデータが出ている。
数字だけ見ると、「マッチングアプリ=当たり前の出会い方」になったんだな、と思う。
私自身も、気軽な趣味友達探しから、将来を考えられる相手探しまで、何度か使ったことがある。
正直、仕組みとしてはよくできている。
日常生活では絶対に出会わないタイプの人ともつながれるし、条件で絞れるし、プロフィールを見ればある程度その人の温度感も分かる。
効率的だし、合理的だし、忙しい大人にはありがたいツールだと思う。
……と思う、のだけど。
これは恋なのか、それとも恋っぽい何かなのか
「条件を満たした異性からアプローチされる」
「毎日メッセージが来る」
「好意を示される」
これって、かなりわかりやすく“恋っぽい”。
でも、その正体は人というより、仕組みなのかもしれない。
メッセージのテンポが合う人、言葉選びが心地いい人がいると、今度は画面の中で勝手に期待してしまう。
会ったこともないのに、「この人なら分かり合えるかも」とか、「こういう人なんだろうな」とか、脳内で設定を盛っていく。
冷静に考えれば、相手のことなんてほとんど知らない。
本音も分からないし、私以外の人にどう接しているのかも見えない。
それなのに、なぜか感情だけが先に動く。
でも、ふと立ち止まる瞬間がある。
「あれ、私、この人のどこが好きだったんだっけ?」
一気に駆け上がったぶん、振り返ったときに足場がない感じがする。
感情はあったはずなのに、言葉にしようとすると、何も出てこない。
このとき、ふと頭をよぎった。
もしかして私は、その人を好きなんじゃなくて、「好かれている状況」が好きなだけなんじゃないか?って。
ジェットコースターみたいな恋愛スピード
マッチングアプリの恋愛は、とにかく進むのが早い。
気が合うと即レスでメッセージして、電話して、会って、
「マッチして数日で付き合いました」なんて話も珍しくない。
そのスピード感は、確かに楽しい。
ドキドキするし、「恋してる感」は強い。
実際、マッチングアプリで出会って、2〜3回しか会っていないのに「好きです」と言われたことがある。
もちろん、うれしい。でも同時に、「私の何を知ってるんだろう?」という気持ちも湧いてくる。
正直に言うと、「この回数で分かるのって、雰囲気くらいじゃない?」って思ってしまう。
面倒くさい性格だな、とは自分でも思う。
結婚がゴールだと考えたら、付き合ってから好きになってもいいし、好意の順番なんて本当はどうでもいいはずだ。
人類史的に見たら、恋愛結婚のほうが後から生まれた概念だし、合理性だけで言えばアプリのほうがよっぽど優秀。
なのに、なぜか心が追いつかない。
選択肢が多すぎる世界で、雑に扱われている気がする
マッチングアプリの怖いところは「この人がダメでも、次がいる」という感覚が、いつの間にか当たり前になってしまうことだと思う。
その結果、誰かをちゃんと見ようとする前に、別の選択肢を探してしまう。
使い捨て、という言葉は強いけど、それに近い感覚を覚える瞬間が確かにある。
自分自身もまた、根っこの部分を知られないまま、スワイプで切られていく。
ちゃんと向き合えていない感じもするし、向き合われてもいない感じもする。
でも、じゃあ一人ひとり丁寧に向き合えるかと言われたら、現実的にはかなりしんどい。
時間も、気力も、感情も、そんなに無限じゃない。
だから私は今も、この葛藤の中にいる。
恋人がほしかったはずなのに、だんだん面倒になる
実際に使い続けていると、不思議な感覚が出てくる。
恋人がほしくて始めたはずなのに、メッセージのやり取りが増えるほど、だんだん面倒になってくるのだ。
複数の人と同時にやり取りして、
「今日は何話したっけ」
「この人にはどこまで話したっけ」
みたいなことを考えている自分に、ちょっと引く。
返信が少し遅いとか、言い回しが合わないとか、
本来なら「まあ、そんな日もあるよね」で済むようなことが、なぜか気になってしまう。
そして、違和感を言語化する前にフェードアウトしている。
それでも感じた違和感は、たぶん大事。
マッチングアプリが悪いわけじゃない。
向いている人もいるし、実際に幸せになっている人もたくさんいる。
ただ私は、
「恋をしている感覚」と
「誰かと関係を築いている実感」
この2つがズレたときに、強い違和感を覚えるタイプなんだと思う。
もしかしたら、私にとっての恋愛は、
効率とか合理性より、時間をかけて「分からなさ」を共有していくことなのかもしれない。
これは恋なのか、疑似恋愛なのか。
正直、まだ答えは出ていない。
でも、この違和感を「気のせい」で片づけずに、ちゃんと考えている今の自分は、嫌いじゃない。
たぶん私は、恋愛の正解を探しているんじゃなくて、
自分が納得できる形を探しているだけなんだと思う。
じゃあ、その「納得できる形」って何なんだろう、と考える。
今のところ出ている答えは、とても地味だ。
一気に盛り上がることでも、たくさんの選択肢を持つことでもない。
相手をよく知らないまま「好き」という言葉だけが先に進んでいく関係でもない。
たぶん私は、
・会うまでに盛り上がりすぎない、期待しすぎないこと
・やり取りの心地よさだけで判断しないこと
・「他にもいるから」を判断基準にしないこと
このあたりを、自分の中でちゃんと守りたいのだと思う。
もし次にマッチングアプリを使うなら、
恋をしに行くというより、人を知りに行く場所として使いたい。
条件やテンポよりも、「話していて疲れないか」「自分の本音をちゃんと言えて、受け止めてもらえるか」みたいな、あとから効いてくる感覚を大事にしたい。
もしかしたら、それはとても非効率で、遠回りで、
マッチングアプリの本来の使い方とはズレているのかもしれない。
それでも、自分の気持ちが置いていかれない関係を選びたい。
疑似恋愛に感じてしまうのは、私がちゃんと恋をしたいと思っている証拠なのだと思う。
だから焦らなくていいし、無理に慣れなくてもいいのだ。
この違和感を持ったまま、
少しずつ、自分が納得できる距離感を探していけばいい。
それが、今の私なりのマッチングアプリとの向き合い方だ。


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