わたくし、「アイ・オーカワ」は、48歳で大学生になることを決めました。
今の仕事を続ければ何の不自由もなく暮らせるのに、それでも進学という険しい道を選びました。
きっかけは、ほんの1ヶ月だけ携わった「ダイエット薬の電話相談窓口」の仕事。
もともと人と話すのが苦手で、正直に言えばイヤイヤ始めた仕事でした。けれど、薬に頼らざるを得ないほど悩んでいる人の声を聞くうちに、私の中で不思議な変化が起きました。「誰かの力になれている」という実感が、これまでにないほど心を揺さぶったのです。
その瞬間に芽生えた思いは「もっと人の役に立ちたい」でした。その気持ちは消えることなく、やがて「臨床心理士」という道へ私を導いたのです。
48歳、大学生になる決意。
48歳で大学に入学すると、卒業は最短でも52歳。その後、大学院に2年間進学すれば、臨床心理士を受験できるのは54歳頃になります。
「今さら…」とためらう人もいるかもしれません。でも私は逆に思いました。
もし何もしなければ、54歳になっても「挑戦しなかった自分」のまま。
だったら数年後、「資格に挑戦している自分」でありたい。そう考えると、年齢を理由に立ち止まるより、今から歩き始めるほうが自然だったのです。
では、なぜ48歳からの挑戦を選んだのか。
その答えは、偶然経験した「電話相談窓口」での仕事にありました。
電話相談窓口で気づいた「人の声の重み」
私が知り合いからお願いされたのは、ダイエット薬を販売する電話相談の窓口でした。
もともと人と話すのが得意ではなく、最初は毎日が苦痛で苦痛で……。予約が入るたびに憂鬱で、受話器を取る手が重かったのを覚えています。
けれど、電話をかけてくる人たちは「ただ薬を買いたい」だけではありませんでした。
「食べることをやめられない」
「周囲の目が怖い」
資格のない私は専門的なアドバイスができるわけでもなく、ただ聞くだけ。
それでも話し終えた相手から「ありがとう」と返ってくる瞬間がありました。
その言葉に、胸の奥がじんわり温かくなり、「人の話を聞くこと自体が、誰かの力になれるんだ」と初めて実感したのです。
わずか1ヶ月の経験でしたが、その気づきは私にとって大きな転機になりました。
もっと人を支えたい!見えてきた臨床心理士という道
「人のためにできることが、もっとあるのではないか」
そんな思いが、日を追うごとに強くなっていきました。
ただ聞いているだけで相手が少し楽になるなら、もし自分が正しい知識や技術を持っていたら、もっと深く支えられるのではないか。そう考え始めたときに出会ったのが「臨床心理士」という職業でした。
臨床心理士は、人の心の奥にある葛藤や苦しみを丁寧にひも解き、その人が自分の足で歩んでいけるようにサポートする専門家です。
電話相談で感じた「支えになれた」という小さな手応えが、この仕事なら確かな力に変えられる。そう直感しました。
調べれば調べるほど、心理学の奥深さや臨床心理士の役割に心が引き寄せられ、「ここに自分の進むべき道がある」と強く確信するようになったのです。
高卒から大学へ。安定を捨てて挑むという選択
ただ、現実はそんなに簡単ではありませんでした。臨床心理士になるには、大学、さらに大学院まで進まなければならない。
私は高卒で、しかもWebライターとして10年以上経験があり、安定した収入を得ています。普通に考えれば、あえて挑戦する理由は見つからないのです。
「今から大学?無謀だ」
「安定を手放すなんてもったいない」
もちろん自分の中でも葛藤しましたし、周囲からそう思われることもありました。けれど、不思議なことにあのときの自分の気持ちだけは揺らぎませんでした。どうしても、その声を無視できなかったのです。
そこで選んだのが通信制大学でした。働きながら学ぶというのは、時間のやりくりが課題です。(ライター業のスケジュールにどう勉強を組み込むのか、いまだに模索中)
けれど「学んだことは必ずライターとしての仕事にも役立つ」と信じています。心理学の知識は、人の心を理解し、言葉にする力をもっと強くしてくれるはずだからです。
「人生に遅すぎる選択はない」48歳から歩み始める私の未来
48歳にして大学生になるという挑戦は、決して楽なものではないと思っています。
けれど私は、この年齢だからこそ「本当にやりたいこと」を見つけ、勇気を持って一歩を踏み出せました。
20代や30代の私なら、生活やキャリアの安定を優先し、この選択はしなかったかもしれません。でも48歳の今だからこそ、経験や視野の広さを武器にして学び直しに挑めるのです。
むしろ年齢はハンデではなく、強みにもなる。
焦らず、丁寧に、自分の歩幅で歩み続けられるからです。
私が電話相談窓口で感じた「人の声を支えたい」という気持ちを胸に、これから大学で学びを重ね、臨床心理士として誰かの力になれる未来をつくっていきたい。そしてこの記事を読んでいるあなたにも伝えたいのです。
「人生に遅すぎる選択はない」挑戦はいつからでも始められる。

