一所懸命に書く──ライターとして大切にしていること

こんにちは。ライターのかんばらです。

ライターとして活動を始めてから、多くの原稿を書き、その分多くの修正も受けてきました。ときには「ここは必要ないのでは?」と指摘されることもあります。試行錯誤して書いた一文ほど、そう言われると悔しいものです。

なぜそんなに悔しいのか。それは、せっかく込めた意図が、伝わらないまま削られてしまうように感じるからです

振り返ってみると、この感覚の始まりは中学生の頃の体験にありました。

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間違いと言われた「一所懸命」

中学生の頃、美術の授業で「好きな四字熟語を書きましょう」という課題がありました。私が選んだのは「一所懸命」です。

「一所懸命」とは、もともと武士が自分の領地を命がけで守ったことに由来し、“自分の持ち場を大切に守り抜く”という意味を持つ言葉です。後に形を変えて「一生懸命」となり、“全力で努力する”という意味で広く使われるようになりました。

どちらも努力を表す言葉ですが、「一所懸命」には“守る対象がある”というニュアンスがあります。子ども心にそれが格好よく感じられて、私は迷わずこの言葉を選びました。

ところが下書きを提出したとき、先生に「正しくは一生懸命だよ」と直されました。本当は「一所懸命も間違いではないし、この言葉を選びたい」と伝えたかったのに、気持ちをうまく言葉にできませんでした。「考えていることを伝えられない」というもどかしさだけが残ったのです。

意図を持って書くことで原稿はより良くなる

大人になり、ライターとして仕事をするようになってから、この経験を思い出すことがあります。

編集者さんから「ここは削ったほうがいいかも」とアドバイスをいただくことはよくあります。もちろん意味もなく冗長な部分は直すべきです。しかし、意図を持って書いた一文であれば、「なぜその一文を書いたのか」を説明し、必要に応じて残すことで、原稿はより豊かなものになると思います

あるインタビュー原稿で「ここは削っていいのでは?」と言われた一文がありました。確かに全体の流れから見ればなくても成立します。けれど私は「これはインタビュイーが読者に伝えたい大切な一言だ」と感じました。そこで「ここは寄り添いが伝わる一文なので残したいです」と意図を伝えたのです。

結果、表現を少し整えて掲載することになり、公開後にはインタビュイーから「伝えたいことがうまくまとまっていた」という言葉をいただきました。あのときは本当にうれしかったのを覚えています。

ライターとしてありたいのは「一生懸命」より「一所懸命」

一生懸命が“全力で頑張る”ことなら、一所懸命は“限られた大切なものを責任をもって守る”こと。ライターとして私が守りたい「一所」とは、読者の信頼や安心感、そしてインタビュイーの想いです

昔の私は「言われた通りに修正すること」に一生懸命でした。けれど今の私は、事実を前提にしつつも「なぜこの表現を選んだのか」を自分の言葉で説明し、大切な意図を守る“一所懸命”へと変われたと感じています。

中学生の頃には言葉にできなかった、「一所懸命」を選んだ意図を、今の私はライターとして伝えられるようになりました。これからも一所懸命に、文章と向き合っていきたいと思います。

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