検索やSNSの情報を思い返してもらうと良いのですが、興味がある領域だからこそ、お客様は「面白い」「役に立つ」情報しか見ません。そして、これをさらにオーガニックチャネルで見てもらうためには、SEOやSNSの各媒体に合わせた情報発信をしていく必要があるのですが、これの難易度が非常に高い。結論的には、現状、
・自社の資産・アセットをふんだんに使って魅力的なコンテンツを作り
・SEO・動画・SNS等各チャネルに合わせたコンテンツフォーマットに最適化して配信していく
という2つを同時に行う必要があります。ただ、この難易度が非常に高い。どういうことか解説します。
面白いコンテンツを作るのが難しい
上に書いた通り、オーガニックチャネル攻略のカギは、まずなんにせよ、「面白い」「役に立つ」コンテンツです。ただ、お笑い芸人が面白さに人生かけて追及しているように、面白さとは非常に難しい。きわめて主観的なもので、ビジネス的に再現が難しい領域でもあります。
一方、「お役立ち」であれば、自社の専門領域であれば割合とっつきやすい印象はあります。要は、困っている人の役に立てばよいわけなので。ただ、その場合もかなりちゃんとした深い知識が必要になります。
ただ、そこで問題になってくるのですが、企業の「面白い」や「役に立つ」を伝えるコンテンツを作るのは、かなり難易度が高い作業な一方で、SNS担当やSEO担当に本腰でない企業が自社の担当につける社員が、必ずしも現場を理解した社員ではないことです。
今までのクライアント様だと、やはりコンテンツを作る部分は事業編貢献度が見えづらい分、少人数、しかも若手で自社の事業に詳しいというより、今まで自社の中でも宣伝・マーケティングをやっていた人を当てることが多いです。しかも、兼務的な立場であることも多く、物量をこなせないし、面白いコンテンツを考えて作る余裕がなかなかない。
一方で、代理店に依頼しようとしたら、自社の中に入り込んで面白いコンテンツを作るハードルが高い。と、このようにオーガニックチャネルで、単にばずらせるのではなく、骨太な面白いコンテンツを作ることはかなり難易度が高いのです。
SEO・SNS・動画等チャネルごとに専門知識が必要で幅広い
さらに、自社で非常に推進力がある人がいて、継続的に面白いコンテンツを作れていたとしましょう。ですが、それがSEOやSNSでインパクトあるボリュームの流入・露出が取れていることはかなり少ないです。というのも、SEO一つとってもあまりに専門的になっていますし、SNSも媒体ごとに攻略方法が異なる。CRMもツールがいくつあるんだ、というくらい分かれてしまっており、それぞれ事業貢献度が高いKPIを追っている中で、直接的に売り上げに結びつきづらいコンテンツを各チャネルで最適化するためには幅広い知見と多大なるリソースが必要になります。特にオーガニックチャネルは、媒体ごとに見るべき指標や攻略方法が全く異なるので、かなり幅が広い能力の幅が必要になります。これもオーガニックチャネルが難しい理由の一つです。
面白いコンテンツを作っても、各チャネルに合わせて文脈も整えて発信しなければチャネルを成長させられない。必要なケーパビリティが多岐にわたる。
物量と時間が必要だが、KPIがCVになり、続かない
そして最後に、ありがちなのが、オーガニックチャネルの目標・KPIを売り上げ・CVにしてしまい、1年等の短期で寄与CV数を見ていくやり方です。よくあるのが、代理店もいったん高い手数料が元を取れると示すために、売上・CV目標にコミットするものの、実際にはそれは発生せず、失敗プロジェクトの烙印を押されてしまうというもの。
個人的には、オーガニックチャネル系は時間がかかるので、「短期で大きな金額をかける」という選択はすべきではなく、「広告と比べてコストを抑えつつ細く長く、でも面白いコンテンツを作っていく」という筋しか難しい気がしています。
とはいえ、直接CV・売上に寄与が全くない、という設計だといつまでたってもお金を垂れ流すことになってしまう上、時間をかければオーガニックチャネルで大きな事業貢献を作るのは十分可能だったので、少し時間を長くして直接CV等も追いつつ、中間的なKPIをどうするのかを決めるのが現実的だと思います。