M-1グランプリ2025決勝出場芸人・めぞんのネタから学ぶエモいの表現方法

M-1グランプリ2025決勝出場芸人・めぞんのネタから学ぶエモいの表現方法

M-1グランプリ2025の決勝戦はご覧になりましたか?

激戦を勝ち抜いてきたファイナリストによる珠玉の漫才は、いずれもレベルの高いものばかりでしたね。

さて、そんなM-1グランプリ2025の中でも、お笑いコンビ・めぞんの吉野おいなり君による絶叫と、原一刻さんの切ない告白…。あの数分間に心を揺さぶられた人も多いのではないでしょうか。

単なる漫才の枠を超え、ドラマや映画のような“エモさ”を爆発させためぞんのネタには、人を惹きつける表現のヒントが詰まっていました。

今回は、そんなめぞんのM-1ネタから、エモいの表現方法を紐解いていきます。

※本記事にはM-1グランプリ2025決勝戦のめぞんのネタについてネタバレがあります。まだご覧になっていない方はご注意ください(ちなみに、文章で概要を先に読んでしまっても、本家・めぞんのネタはそれをはるかに上回る面白さを持っています)。

目次

M-1グランプリ2025決勝・めぞんのネタの概要

まずは、本記事のメインとなるめぞんのネタの概要からご紹介しましょう。

▼以下、ネタバレです。ご注意ください

このネタは、原さんが女友達のミキから「彼氏のフリをしてほしい」というめんどくさい相談を受けた、と吉野さんに話すところからはじまります。

クールに装う原さんに対し、吉野さんは、

「本当にめんどくさいと思ってる?」

「親密な女友達がいるっていうアピールに聞こえるんだけど」

「それって楽しいことじゃない!?」

と猛烈に食いついたり、自分の女友達の少なさを絡めて鬼ツッコミします。

また、彼氏のフリをするうちに、ミキと本当に付き合う雰囲気になるんじゃないか、と抗議する吉野さんでしたが、これに対し原さんは「俺、ミキのこと女として見てないから」と最悪の言葉を発します。

吉野さんは腹を立てながら、

「お前が(ミキのことを)どう思っていても、ミキは女の子だから腕組まれたら嬉しいだろ?」

「強がんないで!」

と伝えますが、原さんは「何も思わない」の一点張りで、なんだか話が噛み合わない様子の2人。

ついに怒りの頂点に達した吉野さんが、

「お前さっきからミキの気持ちが置き去りだよ!」

「ミキの気持ちを考えろ!」

と言うと、

「一回俺から(ミキに)告白した時にフラれてるから」

「でもそれでも友達でいたいって言われたから」

「じゃあそういう目(恋愛対象)で見るのやめよ、と思って」

と、原さんから衝撃の告白が…!

これには吉野さんもたまらず、

「お前本当に強がってたんだな!!!」

「ごめーーん!!!」

「(ミキの)恋愛相談よく耐えたなー!!!」

と叫び、原さんを強く抱きしめます。

そしてスタンドマイクを握りしめ、

「こいつはな、アンタなしでも生きていけるよ」

「でもアンタなしで生きていたくないんだよ」

と叫び、この勢いのまま、ロックバンド・サンボマスターの「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」を熱く熱く歌い上げる吉野さん。

吉野さんが歌う隣で、原さんはミキへの秘めたる想いを叫び、このネタの幕が閉じるのでした。

簡潔に言ってM-1史上最もエモいネタ

これまでのM-1は、

・いかにボケ数を詰め込むか

・いかに巧みな伏線を張るか

という技術戦の側面が強かったように思います(もちろん、いろんなジャンルのお笑いがあったことも存じております)。

しかし今回、めぞんが決勝で見せたのは、人間のむき出しの感情そのもの。加えて、それが純度のたか~~いピュアッピュアの感情でした。

――笑いながらも、いつの間にか胸が熱くなる。

まさに、M-1史上最もエモいと言っても過言ではないネタが爆誕したのではないでしょうか。

芸人・めぞんのネタから学ぶエモいの表現方法

彼らのネタのどういう部分に対して、人はエモいと思うのでしょうか。ここからは、めぞんのネタから学ぶエモいの表現方法について探ります。

「実はそうだったんだ」という状況の逆転からの共感

今回のネタは、中盤に原さんが放った以下のセリフで空気が一変しますよね。

「一回俺から(ミキに)告白した時にフラれてるから」

余裕のある男が女友達の頼みを聞いてあげている、という構図から、一度フラれた相手との関係を守るために、心を殺して“彼氏のフリ”を引き受けた、という切ない事実…。

この状況の逆転により、観客の“笑いの視点”に、“共感の視点”がプラスされたように思います。エモいって、共感(または感情移入)できるかどうかが重要なのではないでしょうか。

ここからは個人的な意見にはなりますが、自分とは全くの別世界で起こった悲恋のストーリーもそれはそれでエモいのです。

でも、なんだかイマイチ前のめりになれないというか、そんな感じがします。

それよりも、今回のミキと原さんのような、身近に起こりうる、もしくは自分の身にも起きそうな出来事の方がエモい度が高いと思いませんか?

切ない事実が明らかになるだけでなく、それが共感しやすい内容だった、身近な内容だった。これはエモい表現を行う際に取り入れやすいポイントといえるでしょう。

※身近な内容=エモいに繋がることに関しては、こちらの記事でも解説しています。

感情の決壊

原さんは中盤まで徹底して「無感情」を装っていましたよね。

「ミキに対してなんとも思わない」という冷めた態度は、実は自分の恋心をこれ以上傷つけないための防衛本能だと理解できます。

この感情の抑圧という“溜め”があるからこそ、終盤で吉野さんの歌と共に原さんが「好きだー!」と叫ぶ時にエモさが大爆発するのです。

エモいシチュエーションがちょこちょこ小出しされるのもエモいですが、やはり、人間はどんなことでも溜め→爆発の流れに弱いもの。

こんな風に、エモいの出しどころを考えるのも、めぞんから学ぶエモい表現方法のひとつです。

敵(ツッコミ)が最大の理解者に変わる

このネタの影の主役は、ツッコミの吉野さんです。

最初は原さんを「強がるな」と攻撃(ツッコミ)していましたが、真相を知った瞬間に原さんの味方へと転じます。

――自分のことを否定していた人間が、最大の理解者になる。

この構成は、物語における王道激アツ展開ですよね。

視聴者は吉野さんに自分を投影し、一緒に原さんを応援してしまうのです。

叫ぶような音楽

最後はサンボマスターの名曲を熱唱して締めくくられるこのネタ。漫才というより演劇のような、まさに枠にとらわれない展開となりましたが、それがとてもエモいのです。最高。

言葉で説明するのをやめ、メロディと感情むき出しの言葉で愛を叫ぶ。

理屈を超えたパッションが伝わった瞬間、人はエモいと感じるのです。

記事のまとめ:めぞんが切り拓く「エモ漫才」の夜明け

M-1グランプリ2025決勝戦でのめぞんのネタは、技術や設定の面白さだけでなく、“人間臭さ”をどれだけさらけ出せるかという新しい漫才の形を見せてくれました。

「実は…」という背景の提示、溜めてからの爆発、そして敵が味方に変わる。

これらの手法は、どんな場面においても、受け手の心を動かす強力な武器=エモさになるはずです。

筆者の個人的な願いとしては、原さんとミキの行く末を、サンボマスターの楽曲と共に追い続けたいとさえ思います。こんな風に、シリーズ化して欲しい漫才ってなかなか存在していないですよね。

そんな新しい漫才の形を見せてくれためぞんのお2人に、心からの拍手と尊敬の念を込めて、この記事を締めくくらせていただきます。世界はそれを愛と呼ぶんだぜーー!!!

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