「1キーワード1記事」って今も守るべき?複数クエリを拾うSEO記事設計の考え方

「1キーワード1記事」って今も守るべき?複数クエリを拾うSEO記事設計の考え方

3年前、生命保険の比較サイト向けに「生命保険 選び方」で記事を書いたんです。

当時の私は「1キーワード1記事」を忠実に守るタイプで、ターゲットキーワードは1つに絞って、競合分析もちゃんとやって、構成作って。

公開から1か月後、サーチコンソール見たら「生命保険 決め方」「保険選び ポイント」「自分に合った保険」でも順位ついてました。

「え、これってまずくないですか?キーワードカニバリって避けるべきですよね?」

焦って上司に相談したら、「何がまずいの?」って逆に聞かれて。

「いや、1キーワード1記事って習ったので…複数のキーワードで順位つくのって良くないんじゃ…」

「それ、全部同じ検索意図じゃない?だったら1記事でカバーできてる方が効率いいでしょ」

最初は意味が分からなかったんですけど、よくよく考えたら「1つの記事が複数のクエリに対応してる」って、工数的にもユーザー目線でも合理的なんですよね。

生命保険を選ぶときって「選び方」も「決め方」も「ポイント」も、結局同じことを知りたいわけで。

「1キーワード1記事」自体は間違ってないと思います。特に初心者のうちは、この方法でやった方が分かりやすいし、ミスも少ない。

でも実際に記事を量産していくと、効率を考えると検索意図で切った方がコスパいいケースが多いんです。

しかも、Googleのアルゴリズムアップデートの方向性を見ても、この考え方は理にかなってると感じます。

今回は、私が実際に経験した「1キーワード1記事 vs 1検索意図1記事」の使い分けと、それぞれのメリット・デメリットをシェアします。

目次

Googleアルゴリズムが変わって「包括性」が重要になったのかも

Googleアルゴリズムが変わって「包括性」が重要になったのかも

2022年のHelpful Content Updateあたりから、Googleの評価基準が大きく変わったんです。

簡単に言うと「検索エンジンのためじゃなく、人のために書かれた包括的なコンテンツ」が評価されるようになった。

これが1キーワード1記事論に影響してると思います。

以前は「このキーワードで上位を取りたいなら、そのキーワードを狙った専用記事を作る」が鉄則でした。

でも今のGoogleは「ユーザーの疑問に包括的に答えてる記事」を高く評価する傾向があります。

つまり「生命保険 選び方」で検索した人が次に知りたくなる情報(決め方、ポイント、基準)まで含めて答えてる記事の方が、専用記事を何本も作るより強い可能性が高い。

実際、私が運用してるクライアントのメディアでも、コアアップデート後に順位が上がったのは「包括的な1記事」で、薄い専用記事は軒並み順位を落としました。

Googleの方向性として「ユーザーの検索行動全体をカバーする記事」が求められてるんじゃないかなと思います。

「1キーワード1記事」のメリット・デメリット

1キーワード1記事の良いところは、管理がシンプルなこと。

どの記事がどのキーワードを狙ってるか明確だし、カニバリの心配も少ない。キーワード選定もシンプルです。

実際、私も最初の1年はこの方法でやってました。

「この記事は『生命保険 選び方』専用、この記事は『生命保険 比較』専用」って管理してた方が、頭の中が整理されてたんです。

でも半年くらい続けると、工数が膨らむ問題が出てきました。

似たような記事が量産されて、記事数だけ増えて管理コストが上がる。執筆・更新の工数が倍々で増えていく。

例えばクレジットカードの記事を書くときって、こんな感じになりがちです。

  • 「クレジットカード おすすめ」で8000字
  • 「クレジットカード 比較」で10000字
  • 「クレジットカード ランキング」で10000字

合計28000字、記事3本。

でもよく考えたら、これ全部同じ内容を少しずつ言い換えてるだけなんですよね。

「おすすめ」の記事で比較表を作って、「比較」の記事でもおすすめを紹介して、「ランキング」の記事で比較軸を説明して…完全に重複してます。

しかも情報更新のたびに3記事全部直さないといけない。

クレジットカードのキャンペーン情報が変わったら、3記事同時に修正。これがかなり面倒でした。

「1検索意図1記事」の方がROI高い理由

マーケター視点で考えると、同じ検索意図のクエリは1記事にまとめた方が投資対効果が高い傾向があります。

制作コストが半分以下になる

さっきのクレジットカードの例で、実際の制作コストを計算してみます。

1キーワード1記事の場合

  • ライター費用で28000字 × 5円/字 = 140,000円
  • 構成作成で1記事2時間 × 3記事 = 6時間
  • 編集・校正で1記事1.5時間 × 3記事 = 4.5時間
  • 更新作業が年4回 × 3記事 = 年12回の作業

1検索意図1記事の場合

  • ライター費用で12000字 × 5円/字 = 60,000円
  • 構成作成で1記事3時間 = 3時間
  • 編集・校正で1記事2時間 = 2時間
  • 更新作業が年4回 × 1記事 = 年4回の作業

コスト削減効果は57%。8万円も浮きます。

しかも1記事に集約することで、ドメインパワーも分散しにくくなって、被リンク獲得も効率的になる可能性があります。

薄い記事3本より、濃い記事1本の方が自然リンクも集まりやすい傾向があるんじゃないかなと。

トラフィックの質が上がる

1検索意図1記事だと、記事内で読者の疑問を解決できるから直帰率が下がる傾向があります。

例えばこんな感じで変わることが多いです。

1キーワード1記事の場合

  • 平均滞在時間が1分15秒
  • 直帰率が75%
  • ページ/セッションが1.2

1検索意図1記事の場合

  • 平均滞在時間が4分30秒
  • 直帰率が45%
  • ページ/セッションが2.8

滞在時間が3倍以上、直帰率は30%改善するイメージです。

エンゲージメントが高いと、Googleからの評価も上がってさらに順位が上がる。好循環になりやすいです。

読者にとっても便利

読者の立場で考えても、1記事で完結する方が嬉しいんじゃないかなと思います。

1キーワード1記事だと、「おすすめ」の記事を読んで、「あ、比較表も見たいな」と別記事に移動して、「ランキングも知りたいな」とまた別記事に移動する。

でも1検索意図1記事なら、1記事でおすすめ、比較、ランキング、全部分かる。離脱せずに読み進められて、コンバージョン率も上がりやすい。

実際、生命保険の記事も「選び方」だけじゃなくて「保障額の計算方法」「保険の種類」「よくある失敗」まで入れたから、平均滞在時間が4分超えて、資料請求のCVRも1.8倍になりました。

Googleからの評価も高い

Googleは「包括的で詳しい記事」を評価する傾向があります。

薄い記事が3つあるより、濃い記事が1つある方が強い可能性が高い。

実際、私が統合した記事は順位が明らかに上がりました。

  • 統合前だと各記事が20位~30位(圏外)
  • 統合後は1記事がSERPsの1ページ目へ

しかも統合後の方が、検索ボリュームの大きいビッグワードでも順位がつくようになったんです。

Googleの「包括性」を評価するアルゴリズムに合致したんじゃないかなと思います。

検索意図の見極め方

検索意図の見極め方

じゃあ、どうやって「同じ検索意図か」を判断するか。

私がやってる方法を3つ紹介します。

検索結果の被り率をチェック

一番確実なのは、実際に両方のキーワードで検索してみることです。

例えば「クレジットカード おすすめ」と「クレジットカード ランキング」で検索して、上位10件のうち7件以上が同じ記事なら、Googleは「これ同じ意図だよね」って判断してる可能性が高い。

逆に被ってる記事が3件以下なら、別の検索意図として扱われてるってこと。

この方法、シンプルだけど確実だと思います。Googleが実際にどう判断してるか分かるから。

例えば「生命保険 選び方」と「生命保険 決め方」で検索すると、上位10件中8件くらいが被ってることが多いです。

これは「選び方」も「決め方」も同じ意図だってGoogleが判断してる証拠だと思います。

ユーザーの行動フローで考える

検索者の頭の中を想像してみます。

同じフローで連続して検索されそうなクエリなら、同じ記事でカバーすべきだと思います。

例えば「転職エージェント」から「転職エージェント 比較」そして「転職エージェント 選び方」。

これ、同じ人が同じタイミングで調べてそうですよね。

マーケティングファネルで言えば、全部「比較検討段階」。だったら1記事で完結させた方がCVRが上がる可能性が高いです。

逆に「転職エージェント 選び方」(これから使う人)と「転職エージェント 断り方」(既に使ってる人)は時系列が違うから、別記事にすべきだと思います。

前者は「どれを選ぶか」で悩んでて、後者は「どう断るか」で悩んでる。ファネルの段階が全然違います。

包含関係があるか見る

大きなテーマと、その中の詳細トピックの関係。

親テーマの記事に、子テーマを含めるのは自然だと思います。

例えば「SEO対策とは」の記事に、内部SEO、外部SEO、コンテンツSEO、テクニカルSEOを全部含めて1記事にするのは普通ですよね。

むしろこれを全部バラバラの記事にしたら、読者からしたら「で、結局SEO対策って何なの?」って全体像が見えなくなります。

ただし、各テーマが深くなりすぎる場合は別記事にして、「コンテンツSEOについて詳しく知りたい方はこちら」みたいに内部リンク貼るのもアリだと思います。

サイト設計として、トピッククラスターモデルを意識すると整理しやすいです。

こういう場合は分けた方がいい

1検索意図1記事が効率的って話をしてきましたけど、逆に分けた方がいいケースもあると思います。

ケース1:ターゲットが明確に違う

例えば転職系のメディアで「転職エージェント おすすめ」の記事を書くとき、20代向け、30代向け、40代向け、ハイクラス向けを全部1記事にすると危険です。

求めてるサポート内容も年収レンジも全然違うから、無理に1記事にすると誰にも刺さらない記事になりやすい。

マーケティング的に言えば、ペルソナが違いすぎる。

この場合は親記事で「転職エージェントおすすめ【年代・キャリア別に比較】」を作って、子記事で「20代におすすめの転職エージェント5選」「ハイクラス向け転職エージェント7選」に分けた方がいいと思います。

内部リンクで繋げば、各記事のターゲットが明確になって、専門性も高まります。

しかも各ペルソナに最適化した広告訴求もできるから、CVRも改善しやすい。

ケース2:時系列が違う

「導入前」と「導入後」で悩みが違うパターン。

例えば「MA ツール 選び方」(導入前)と「MA ツール 使い方」(導入後)は完全に別記事にすべきだと思います。

カスタマージャーニーで言えば、「検討段階」と「活用段階」。全く違うフェーズです。

選び方を調べてる人に使い方の詳細を見せても「まだそこじゃない」ってなるし、逆もまた然り。

ケース3:文章量が膨大になる

1記事で1万5000字超えそうなら、分けることを考えた方がいいかもしれません。

読者の疲労度を考えると、1万字くらいが限界なんじゃないかなと。

それ以上になると「長すぎて読む気失せる」ってなりがち。

ただし、このあたりはジャンルにもよります。

金融系や医療系みたいに情報の正確性が求められるジャンルだと、1万5000字超えても読まれることが多い。

逆にエンタメ系だと6000字でも長いって言われたりします。

ユーザーテストやヒートマップ分析で、実際の読了率を見ながら判断するのがベストだと思います。

実際に複数クエリを拾うSEO記事の作り方

実際に複数クエリを拾うSEO記事の作り方

じゃあ、どうやって1記事で複数のクエリに対応するか。

私が実際にやってる方法を4つ紹介します。

H2を質問形式にする

各H2見出しが、それぞれ別のロングテールクエリに対応する構造にすると効果的だと思います。

例えば「クレジットカード 選び方」の記事なら、こんな感じです。

  • 年会費無料と有料の違いと選び方: 「クレジットカード 年会費無料 有料 違い」を拾う
  • ポイント還元率が高いカードの見極め方:  「クレジットカード ポイント還元率」「高還元率 カード」を拾う
  • 初めてのクレジットカードを選ぶポイント:  「クレジットカード 初めて 選び方」「初心者 カード」を拾う

こうすると、1記事で自然と複数のクエリをカバーできると思います。

しかも読者からしても「自分の疑問に直接答えてくれてる」って感じで読みやすい。

関連する疑問を先回りして答える

例えば「クレジットカード 選び方」で検索する人は、こんなことも気になってるはずです。

年会費ってどれくらいが普通なのか、ポイント還元率ってどう比較すればいいのか、審査に通りやすいカードってあるのか。

これを記事内で先回りして答えておく。

すると「クレジットカード 年会費 相場」「ポイント還元率 比較方法」「審査 通りやすい カード」みたいな関連クエリも自然と拾える可能性があります。

読者からしても「知りたいことが全部書いてある」ってなって満足度が上がる。

カスタマーサポートのFAQデータとか、SNSでのユーザーの声を分析すると、先回りすべき疑問が見えてくることが多いです。

言い換えや類語を自然に入れる

同じ意味でも表現が違うクエリってありますよね。

例えば「リモートワーク ツール」「テレワーク ツール」「在宅勤務 ツール」は全部同じ意図だから、記事内で自然と全部の表現を使います。

「リモートワーク(テレワーク)に必要なツール」とか「在宅勤務でも生産性を保つには」とか。

わざとらしく詰め込むんじゃなくて、文脈に合わせて自然に使うのがコツです。

検索ボリュームの大きい表現をメインにしつつ、他の表現も織り交ぜる。これで取りこぼしが減ると思います。

図解・表で「わかりやすく」系を拾う

「〜 わかりやすく」「〜 図解」「〜 一覧」といったクエリは、視覚的な情報を求めてます。

だから記事内に比較表、フローチャート、インフォグラフィック、チェックリストを入れると、自然とこれらのクエリも拾える可能性があります。

実際、私の記事でも図解を入れた途端に「〜 わかりやすく」系のクエリで順位がつくことが多いです。

しかもビジュアルコンテンツは滞在時間を伸ばす効果もあるから、エンゲージメント指標の改善にもつながりやすい。

1記事 vs 複数記事の判断チャート

実際にどう判断するか、私が使ってる基準をまとめます。

クライアントに提案するときも、この基準で説明してます。

同じ記事でカバーすべき場合

  • 検索結果の被り率が70%以上(Googleが同じ意図と判断してる可能性が高い)
  • ユーザーが連続して調べそうなクエリ(「選び方」から「比較」そして「おすすめ」の流れ)
  • 検索意図が「知る→比較→選ぶ」の同じフロー(意思決定の同じ段階)
  • 言い方が違うだけで本質は同じ(「リモートワーク」=「テレワーク」=「在宅勤務」)

この4つのうち2つ以上当てはまったら、同じ記事でOKだと思います。

制作コストを削減できる上に、読者満足度も高くなって、結果的にROIが向上しやすい。

別記事にすべき場合

  • 検索結果の被り率が30%以下(Googleが別の意図と判断してる可能性が高い)
  • ユーザーの属性が違う(個人事業主 vs 法人、20代 vs 40代)
  • 時系列が違う(導入前 vs 導入後、初心者 vs 上級者)
  • 検索意図が全く別(選び方 vs 使い方、メリット vs デメリット)

この4つのうち1つでも当てはまったら、別記事にすべきだと思います。

無理に統合すると、どっちつかずの記事になってCVRが下がりやすい。

迷ったら、実際の検索結果を見るのが一番確実だと思います。Googleが答えを教えてくれてるんだから、それを信じればOK。

まとめ:コスパ重視なら「1検索意図1記事」

まとめ:コスパ重視なら「1検索意図1記事」

「1キーワード1記事」は基本として知っておくべきだし、初心者のうちはこっちの方が分かりやすいと思います。

でも慣れてきたら、「1検索意図1記事」の方が圧倒的にコスパいいんじゃないかなと。

しかもGoogleのアルゴリズムの方向性とも合致してると思います。「包括的で有用なコンテンツ」が評価される時代だからこそ、検索意図でまとめた濃い記事が強い。

私がやってる判断プロセスをもう一度まとめると、こんな感じ。

  1. 検索結果の被り率をチェック(70%以上被ってたら同一記事でOK)
  2. ユーザーフローで考える(連続して調べそうなら同一記事)
  3. 包含関係を見る(親テーマに子テーマを含めるのは自然)
  4. 迷ったらGoogleに聞く(実際の検索結果が答え)

制作コストの比較でいうと、1キーワード1記事だと140,000円で記事3本、年12回の更新作業。1検索意図1記事だと60,000円で記事1本、年4回の更新作業。

投資対効果で考えたら、後者の方が圧倒的に優れてると思います。

複数クエリを拾う記事って、むしろ良い記事の証拠なんじゃないかなと。

読者の疑問を先回りして答えてるから、自然といろんなクエリで順位がつく。滞在時間も伸びて、CVRも上がりやすい。

無理に「1キーワード1記事」に固執して制作コストを膨らませるより、ユーザーが満足できる濃い記事を効率的に作る方が、SEO的にもビジネス的にも正解なんじゃないかなと思います。

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