こんにちは!メディアレトリバーのライターの【もか】です!
暇と孤独。一見すると自由で気楽な言葉のようにも聞こえますが、人を思わぬ方向へ引き寄せてしまう危うさが潜んでいるかもしれません。
今回は、私の家で繰り広げられる日常の光景と、あるニュースを通じて感じた「心の隙間」について、少しお話しさせてください。
母の溜息と、叔父の長話
最近、仕事帰りの叔父がよく我が家に泊まりに来ます。
叔父は50代独身。普段はアパートで一人暮らしをしていますが、どうやらうちの居心地が良いようです。
叔父が来ると、母はいつも以上に気合を入れて夕食を作ります。叔父がお風呂に入っている間にせっせと料理を並べ、お風呂上がりには彼の仕事の愚痴を延々と聞く。
叔父は空気を読むのが少し苦手で、母が「もう寝ようよ」と言うまでリビングで自分の話をやめません。
叔父が帰り、玄関のドアが閉まると、母は決まって「は~~、疲れた」と大きな溜息をつきます。
私は内心、「そんなに疲れるなら、無理に呼ばなきゃいいのに」と思っていました。
しかし、ある日のニュースをきっかけに、母が叔父へのおもてなしを止めない本当の理由を知ることになったのです。
「行くところがない」という切実な理由
この記事を書いている日の朝、テレビでは催眠商法の特集が流れていました。高齢者を公民館などに集め、巧みな話術で盛り上げ、高額な商品を売りつける手法です。
インタビューに答えていた高齢者の方は、被害に遭いながらも 「年を取ると行くところがなくなるのよ」と答えていました。
それを聞いた母が、ぽつりと呟いたのです。
「○○おじちゃん(叔父)も、一人で何もすることがなかったらつらかろうと思って呼んでるとよ。うちに来てご飯を食べて、話を聞いてあげるだけでも、だいぶ気持ちが楽になると思うさね。」
その言葉を聞いて、私はハッとしました。
付け込まれるのはお金ではなく「暇と孤独」
母から聞いた話では、叔父は最近、職場の知人に連れられた飲み屋で大金を使い込んでしまったそうです。
叔父の日常は、決して華やかなものではありません。
職場では「どこへ行っても馬鹿にされる」と感じ、肩身の狭い思いをしている。帰宅後はスーパーの惣菜を一人で食べ、お風呂にも浸からず寝るだけ。休日は特に趣味もなく、パチンコ屋へ向かう。
そんな乾いた日常のなかで、飲み屋のキャストに褒められ、肯定された叔父は、つい気分がよくなってお金を使い過ぎてしまったのです。
催眠商法と飲み屋のキャストは、一見すると別物です。しかし、「することがない」「居場所がない」という人の心の隙間にスッと入り込む点では、まったく同じ構造なのだと気づかされました。
疲れの裏側にある、母の優しさ
母は叔父がこれ以上搾取されないように、自らの時間を割いて、彼の「暇と孤独」を埋めていたのです。
美味しいご飯を食べて、温かいお風呂に入り、誰かに話を聞いてもらう。このような当たり前のような習慣が、実は人を守るバリアになります。
もし、あなたの周りに「少し話が長いな」「また来たよ」と思う人がいたら、自分を守る場所を必死に探しているサインかもしれません。
ほんの少しのお節介が、誰かの心の隙間を埋め、悪い誘惑から守る盾になる場合もあります。
母の強さと優しさに、少しだけ背筋が伸びる思いがした朝でした。

