こんにちは!メディアレトリバーライターのふみこです。
突然ですが、みなさんは、キャッチコピーと聞いて、どんなことを思い浮かべるでしょうか?
「そうだ 京都、行こう。」(JR東海)
「お、ねだん以上。」(ニトリ)
など、誰にでも印象に残っているキャッチコピーはあるのではないでしょうか。
私はこれまでに、10年ほど公募の世界で挑戦してきて、「何万通という応募の中で、どんな言葉なら人の目にとまるのか?」という問いをずっと考えてきました。
それは、SNSなど言葉があふれる現代で「どうすれば人の心を動かせるか」を考える土台にもなるものです。
日々の努力を積み重ねてきた結果、ありがたいことにキャッチコピーやラジオCMで受賞できた経験もあります。
広告とは、単なる情報発信ではなく、「誰かの目にとまり、認知され、行動につながる」ためのもの。その本質にフォーカスしながら、私自身が公募でキャッチコピーを考える際の心得や、書いていくステップをお話ししたいと思います。
心得① だれも目にとめないと思っておく
まず大前提として、広告・キャッチコピー・CMは「振り向かれないもの」だと認識しておく必要があります。
企業にとっては思い入れのある商品やサービスのチラシでも、消費者の立場からすれば、つい読み飛ばしてしまうもの。
また、テレビを見ていてCMに切り替わった瞬間、「トイレ行こう」「チャンネル変えよう」と思う。そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
だからこそ、「読まれない」「見られない」前提で、どうしたら「目にとまる言葉」になるかを考えることが重要なのです。
心得② 常にアンテナを張っておく
日常のあらゆる場面が、コピーのヒントになります。
たとえば「きゅうりを売るにはどうすればいいか?」と考えてみる。
お店のPOPを見て、自分ならどう書くか想像してみる。
CMを見て「この入り方は惹きつけられるか?」と観察する。
あるいは、子どもとの何気ない会話の中に心を動かす大事な表現が隠れていることもあります。
アンテナを張ることで、言葉のストックが増え、感性が磨かれていきます。
それがいつか、さまざまな企業さんの思いと化学反応を起こし、味のあるコピーとなっていくのだと思っています。
準備|情報を集め、遠い世界を「近く」に置く
コピーライティングを磨くためには、情報収集も欠かせません。
日本や海外のコピーライターの著書を読む、受賞作品を研究するなど、まずは幅広く学ぶことから始めます。
また、金融や科学技術など、自分に馴染みのない分野も、敬遠せず、「近くに置いておく」ことが大切だと思っています。
わかりやすい入門書から入ったり、AIを活用し、噛み砕かれたものから理解して、「遠い世界」を少しずつ自分の言葉にしていく。
読書は好きなので、本を読み始めると楽しくなり、もっと読みたい、関連本も知りたい!となるのですが、読んだことで満足してしまうのが反省点でもあります。
手に入れた気になるのでなく、一冊の本で得た知識を、常に実践していけることが大事だと痛感しています。
理解|企業の「想い」を読み解く
企業側が本当に伝えたいことは、言葉になっていない部分にあったりします。
企業理念や文体、ホームページのデザイン、写真のトーン。
そうした細部に、企業の「性格」や「想い」が宿っています。
公募の世界では、「さまざまな事業を展開している〇〇社の事業を、一言で表現してほしい」といった課題で、意外にも「ふわっとした印象派のコピー」が選ばれることもあります。
それほど、人の考えは海のように深くて、審査員さんが「これがいい」とピンとくるアンテナは実にそれぞれであることがわかります。
そのため、何度もホームページを読み込み、たくさんの切り口やさまざまな方向性の言葉を用意し、「きっとこんな言葉を求めているんだ」と的を絞っていく力が必要になります。
この「読み解く力」を磨くことこそ、ライターとしての鍛錬ではないでしょうか。
実践|まずは1000本、2000本書いてみる
コピーライティングは「才能」よりも「地道に書くこと」だと感じています。
キャッチコピーは、才能のある人がパッと閃いて書いている。
そんな風に見えるかもしれません。
しかし切り口は無数にあり、表現方法もさまざま。
だからこそ、さまざまな視点で、書いて、書いて、書きまくってみることが大事です。
そこから選りすぐり、研磨し、磨かれた言葉が見えてくる、地道な戦いです。
たとえば「サラダがおいしい」という言葉。
これを「子どもが言うとしたら」「ダイエット中の女性が言うとしたら」などと人物を変えて書いてみる。
人物、口調を変えるたびに、キャッチコピーの印象も変わります。
こうした検証を地道に繰り返すうちに、商品やサービスに「カチッとハマる言葉」が見えてくるのです。
受賞後|贈賞式で得られる「本当の学び」
贈賞式にて、選んでくださった企業さんと実際にお話しすることも、とても大きな学びになります。
「選ばれた」という事実の裏付けとして、
「この部分が寄り添えていたから選んでくれたんだな」
「笑顔でたくさん話してくれたから、こんなテンションでいいなと思って下さっているんだな」
などということがわかります。
その場で得られる情報はとても刺激になり、成長させてくれると感じます。
また、他の受賞者さんと話すことも大切だなと思いました。
その話し方や雰囲気、コピーへの向き合い方を聞くのも勉強になります。
特に、自分と似た性格の人だと、考え方の道筋が似ていることも。
「こういうやり方を取り入れてみよう」「おすすめしてもらった本を読んでみよう」と、発見や刺激になることがたくさんありました。
また、公募の誌面で見ると、何度も受賞されていて遠い世界の人のように感じていたのに、実際に話してみると、意外と自分と同じように悩みながら頑張っていたんだな、とわかったりします。そんな発見も、次へのモチベーションに変わります。
奥が深すぎるコピーの世界。
これからも追求して、自分の力にしていけたらと思っています。


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